2009年8月1日土曜日

黎明


黎明の下を
白輝く帆を立てて
海を渡ることなんて
出来やしなかった

太陽を憎み
明日を夢遊病のよふに恐れ
あらゆる愛を軽蔑し
ガラス瓶に冷冷した無色無感の心を収集した

それでも
なにかを錆びれた針金で縫い合わせたかった

黎明の下
地獄を一緒に歩いていこう

白い帆を立てなかったのは
降参したわけではなかったのだ

雨風をそのまま
受けたかったからだ

闇の盆踊りをあなたと踊りたかったからだ
赤い着物と帯を締めて
足を外して
崖から

この世はライオンの母のよふだった

まっさかさまに

愛を知れ

南十字星の在処と