2010年5月31日月曜日

自分の調律



2年ぶりにピアノを調律してもらった
本当は最低でも年2度程はしなくてはならないのに...反省しつつ

隣の部屋で音が調律されてゆく「音の過程」を自分の作業をしながら聴いていた
何故だかそれは、この何年かの自分の過程が映し出されるようで
狂った音が調律されること
例えると.....1音1音が心の中の1つの呵責や1つの遣る瀬無さ
それが浄化し真っすぐになってゆく気持ちになる
心も調律されてゆくのだ

だから私はオーケストラ演奏が始まる前の第1ヴァイオリンから始まる
オケ全体のチューニングの瞬間が大好きである
心が厚く豊かに、音の無い波が自分を支配し解放して整えてくれるから

これからの2ヶ月間はプライヴェートパーティーなどのゲストで弾き語りする機会が増える
大勢の人々に笑顔と、人々に自分の声を映し出す時期

まずは己がピアノの前に座り完璧な孤独を創りえない限りは
のぞめないものであるから

静寂の中に身を置き、自分の調律から始める

80歳を過ぎている私のピアノ、今日久々に元気になった
これからも宜しくね^^


2010年5月26日水曜日

お嫁さんになるピアニスト、87歳のピアニスト





朝に玄関のチャイムがなった
目をこすってドアを開けると......美しいエキゾチックな女性が静かに立っている

「ボンジュール、本当に突然ですみません...私は同じ通りに住んでいます。
いつも家の前であなたのピアノを聞いていました。
私はイラン人で夏の終わりにイランに戻り結婚します...」

突然のことで私は驚いた....寝起きの気持ちが吹っ飛んでしまった。

話を聞くと彼女はパリのエコール ノルマル(パリでは名の知れた私立の音楽院、私も来た当時同校ピアノ科に在学していた)で
勉強した後、ロンドンでもピアノを勉強したのだそうだ
ピアノ科を終わり、大好きなパリを9月に去るのだと言う

私なぞよりも、バリバリにピアノを弾く方だと想像出来た。

「あなたのピアノの先生はどういう方ですか、確かに私は結婚式や引越しの準備でピアノに
向かう時間は以前に比べて全然ありません
でも
ピアノのバリエーションや、音に対するモチヴェーションをそれでも保ちたくて
あなたの家の前に居たら、あなたに逢えると思ったから...何度も不在時にベルを押してしまったのです。ごめんなさい...」

確かに思えば同じ通りにはピアノを弾いている人や、パイプオルガンを弾いている人がいた

彼女の真面目で控えめな言葉、一つずつ聞いて、
瞳を見て直ぐに
「ああ、この人は...本当の音楽家だな」と思った。

彼女とは秋前までだけど、良く話を聞いたら同年代でよい友人になれるような気がした


夜はピアノの師匠、レンギエル先生の87歳の誕生日会だった

なんだろうね、素晴らしい瞳のエネルギーの人に逢えた今日

私も87歳、天国、またはピアノなど教えているのかな

お嫁に行く、謙虚に尋ねてくれたイラン人の彼女
レンギエル先生....いつも果てしなく一生何でも勉強だと
心を打たれる。
今日もレッスンはラフマニノフをコテンパにされたものだったし...


久々に俳優のディミトリーに逢ったら「君は変わった」と10回以上言われた。
「ははは、寝不足だからかもよ、それともムクんでいるのかな」と言ったら
「やっぱり、変わった、眼差しが」と言う
60年も役者をやっている彼なので、まずは人の表情を見るのに長けているのかな

もし、私が善く「変わった」のならば、

自分の周りにいてくれる
厳しくも暖かく支えてくれる人々に感謝
素敵な生き方を感じながら

自分の感受も私らしく新しい方向へゆくのでしょう


朝から、素敵な「ピアニスト」に囲まれた....
どこまでも純粋にひたすら向かって行く人々

そんな美しい日だった


2010年5月24日月曜日

Notre-dame de la croix de Menilmontant 2






ひとりひとりの命の美しさを
改めて感じる日


Notre-dame de la croix de Menilmontant






晴れやかな春の日
聖歌合唱の助っ人で歌って来ました。
この日は、各国の民族衣装を着て母国語で聖歌を歌うミサ兼フェット(パーティー)

着物を着るのは浴衣をのぞいて実に、成人式ぶりでした。
着物を着るとやはり身も心も引き締まり、たおやかな足取り(いつもそうでありたい)に。

パリの街を着物で....そんな素敵な日でした。

カルメーン、トーゴ、ガーナ、南アフリカ、ポーランド、スペイン、ドイツ、ビルマ、ハイチ、日本などの参加者達

そして民族楽器を奏でる男の方達

私にとっては身体の血が騒ぐ嬉しさです。
なんと言っても、民族音楽と民族衣装が大好きマニアですから
そして自分の音楽にまた新しい影響と笑顔。

自身の独特の世界もいいですが、やはり何年か前から一人旅に出る様になり
世界の1人1人の美しさに惹かれます。

目の色、肌の色、言葉、文化、風習、笑顔...どれをとっても素晴らしい!

着物を着ていたら、アフリカ系やインドのお嬢さん達が私達と写真を撮りたい、
この帯模様の意味は何なのか...質問が多くありました。
街を歩いている時も、フランス人は皆やはり振り返ります。



日本、今は消えつつある昔ながらの美しい物の宝庫

西洋には無い、極東には極東の美しさ

これからも....ずっと心に生きて
決して忘れたくないもの

2010年5月20日木曜日

トリコロールな気分


私事ですが、バンドをやっている弟がテレビ朝日「ストファイ」にちょいと出ます。。
リハ帰りだった渋谷でメンバーが声をかけられたよう。
「このバンドは一体?○△」...

以前もTVに出ていたようで、私なぞよりも音楽で人前に出ているそうな...
ちなみに彼も作曲、楽器はベースです

ビジュアル系ロッカーを脱皮して、いよいよ本番だね^^

昔は膝に弟を抱っこしてピアノでアニメ曲を弾いてあげた時代...
今も歳を重ねて、膝にニャンコを抱っこしてピアノを弾いている

私はテレビに出る予定はありませんが(笑...そういうスタンスでやっているわけでもないので)
7月にプライヴェートパーティーでゲストで歌う予定です。

新曲1曲も含めて、まずは喜んで音楽に向かおうと思います


お写真....  青ー自由 白ー平等 赤ー博愛
まるでフランス大の愛国民のようだ

2010年5月11日火曜日

霧雨と口笛



真夜中の霧雨の中
誰かが口笛を吹いていた

私は
どんな日も、こういう時間が好きだろう

少し寝坊してピアノに向かう
いつもの赤い傘をかぶって(さして)レッスンに通う

今までのレパートリーにスクリャービンを加えてよいか
恐る恐る先生に尋ねる

6月の予定が秋遅くのシーズンに変更になりそうだ

霧雨の夜にスクリャービンの曲を想像する

こういう日は幸せだった
一人で静かに
音と人に想いを寄せ過ごす


多くの人といることが苦手だから
いつもピアノの近くでひっそりと誕生日を向かえることが私は好きだった
そしてこれからも

支えてくれた、そして有り難みを忘れずに

雨の日の階段を上る

雨は心の涙、思い出、心のうた、
そして今

心、生活の貧しさを尊ぶ日に


2010年5月6日木曜日

Carl LAMBERTZ


彼の作品に
心を打たれてから何年か立ちました

ドイツ人(1910-1996)でまだ日本では有名ではありませんが
私は彼の作品から多くのアンスピレースィオンをもらいました

出会いはラヴェルのCDを購入した時のジャケットの絵でした

この絵ではありませんが、心に沁みて滲むものでした

ゴッホ、モジリアーニ、クリムト、シーレ...シャガール


特にランベルツの絵は
優しく音も無く
心を
なぞるのです


いいものです、語らぬとも語るもの
小さい頃から
何よりも誰よりも感情の交流を共にしてくれました

花も風も動物も家具も、しかり


シェヘラザード




上の写真は全然関係ないのですがね...

最近、思います....厭、いつも思っていても、どこか夢中になると忘れていたり...

この頃、リムスキー コルサコフの「シェヘラザード」を聴いてと言いますか
食べています
「シェヘラザード」はバレエ音楽でもあります

音楽は食べるものではないですが、呼吸を耳と心に於いています

私は芸術の中でもバレエが大好きです
それは「言葉」がない....ピアノもそう

瞬間芸術であること

バレリーナは音と音の隙間をも踊る
ピアニストも音と音の間を歌う

音有も沈黙も織り上げて、織り上げて

「呼吸」

中学くらいの時に、リムスキーコルサコフに出逢いシェヘラザードを聴きました
なんて素晴らしい和声法の宝箱の曲なのだろうと...ため息を着きました
彼が生み出した世界的な音楽家も多く、または彼を崇拝した巨匠が多くいました

時が過ぎて本当に久々に彼の曲を聴きたくなり...「呼吸」を感じながら聴きます


今、両手1本ずつ指の調子が良くなく先生にも指摘され
今日1日だけはお休みしました
ピアノの生徒さん達も今日はまだヴァカンスのようで...久々にぽっかり穴の空いた日

少しの間ミロンガと、かくれんぼをしました

....リムスキーコルサコフを聴きながら
全く甘党ではない私がチョコレートと、頂き物と良いワインで

明日からのエネルギーを作れる日になりました

音楽はバレエのバレリーナのようにありたいです

音と音の隙間も奏でられる、音と音の隙間も歌う...
そんな音楽家になりたいです

いかに呼吸が大切で、いかに心で歌い続けることが大切か


呼吸は1つの曲線美であり
それは音楽でも書でも何にでさえも当てはまると思うのです


2010年5月3日月曜日

1秒の人


例えば、1日何時間練習するとかよりも
最近は時間を忘れて練習している

と、言ってもそんな毎日の予定は他にもあり
今は1分1秒でも時間が惜しい

本当に時間は貴重


私がライブ活動を休止中なのは、ピアノ クラシックの方に焦点を充てて今は生きたいから
それが明確な答え

悪くも良くも、私は肩書きが幾つかあります
最終的に何歳になっても
全ては生きる姿勢です
しかし、その1つの蓋を開けた時にたじろいて柱のない乾燥無味なものだったら...


自分が4しか持っていないのに8持っている素振りはすぐにお見通しですから
そういう風には生きたくありません

1秒でも濃い時間を刻んでゆきたいし

1秒1秒、
濃い時間を与えてくれる人が好きです

私も、1秒の瞬間がとても濃い人間になりたいもの




絵 チェコの昔のバレエ絵本より

2010年5月2日日曜日

馨と音


「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

なんて言葉があるけれど、スズランの様な人も愛らしい


昨日はフランスでスズランの日だった
街中の道端で子供も大人もスズランを売っていい日
こんな日を大切にするこの国が私は好きだ


スズランの様な馨と音を求める今日にしたい

当分
探す旅に出る


スズランの花言葉 純潔