2010年2月7日日曜日

LIBERTE 自由


                        ルーマニア、メラ村の駅にて
                    ニワトリと牛だけが迎えてくれた



もうすぐ大好きな映画監督 Tony GATLIF(トニーガトリフ)の新作映画が始まる
そのタイトルは「Liberte リベルテ(自由)」

彼の映画は
現代人とその中で生きるジプシーの実在した現実をもとに作られる作品が多い
彼自身、フランス人とジプシーのハーフである

私は何年か前にルーマニアを一人旅した
その国は以前から、何故か思いを馳せて止まぬ国であり
いつも一人で検索していた国だった

と言うのは、このアパルトマンに引っ越してから近所にあるマーケットの外に
いつも美しい50代の女性が立っていた
彼女はジプシーだけれど...白く目が緑色でいつもニコニコしていた

きっと...北欧から流れてきたジプシーなのかしら...と思いつつ
私は彼女に惹かれていったのだ
今では、「どう?最近元気?」なんて話せるようになった

そして彼女のオリジナルはルーマニアと言うことを知る

その後...CD屋でフと手にした「TranSylvania」と言うDVDを手にする
トニーガトリフの映画だった
丁度良くして日本へ行った時、友人の亜麗ちゃんから
ルーマニアの修道院巡りのマニアで美しい本を頂いた

そして私は一人でルーマニアのトランシルヴァニアへ
ジプシーへ出逢う為に
宛の無い旅へ出かけた



何だろう....私にとって彼の作品は
自分の血が騒いで、骨が鳴る、みんな脱ぎ捨てて裸で走りたくなるのだ

そして人間の「基礎」と言うよりも「根本」をえぐられる
「根本」....醜さ、愚かさ、ひもじさ、優しさ、温かみ、


今回の「Liberte リベルテ」はまず始めにフランスで封が切られる
第2時世界大戦中の...ドイツに支配されたフランスがパリではなくヴィシーに
首都を置いて行った「恐怖政治」の時代の話だ

ユダヤ人が迫害されたあまりにも悲しい歴史は世界でも知られているが
「一番劣等な人間」として扱われたジプシーの多くも実は収容所に送られた
これは事実であるが、あまり知られていない
パスポートを持たない人々だから
どれだけ多くの人々が亡くなったのかも実際にわかっていない


既に短編でガトリフは若い頃に収容所に送られたジプシーの映画を作っているが
今回は長編の大作になるのだろう

そして
私が惹かれるのは....どこか哀愁漂う、しかし喜びを忘れないジプシー音楽だ
しかも
彼の映画に出て来る「地元の人々」「ジプシーの人々」は「本物」である
だからこそ、心に訴える、
せまり来る気迫や
瞳の奥の心が....訴えかけてくるものは尋常ではない

人間、人種差別、極貧困、迫害、それでも生きること、神に祈ること
それでも殺されなければいけないこと

彼の映画はいつも私の心に「生きること」を心に鋭い刄で刺してくれるのだ

今月末は、一人で映画館へ行く


「Liberte」の予告編です
ご興味のある方はどうぞ
http://www.premiere.fr/Bandes-annonces/Video/Liberte


予告編で残る言葉
フランス人「それは戦争っていうんだよ」
ジプシー「違う、それはあなた方の戦争だ、俺たちは戦争をしたことがない」
心に残るな....

またジプシーについて
私が知る範囲で、また別の機会にこのブログで綴っていこうと思います