誰もいない
ルノワールの庭で寝そべっていた
ユーカリとオリーブの木と名前の知らない花の中で
ルノワールと彼の若くして亡くなった妻アリーヌを思っていた
ルノワールの家の中に飾られている
そこから見える森の向こうにある海を描いた作品
その先には今
高層ビルの向こうにある海が見えた
たった100年近く
色から声がするので時々私は立ち止まる
木陰で寝転んでいると.....渇いた暑い風が吹く中
大きなユーカリの木を小さなカタツムリが登っていた
「ねぇねぇ、君、どこまで上がるの?」
「....」
きっと彼は登りたいから登り、上がりたい所まで上がるのだろう
我ら人間よりも強いではないか
「頑張れ...」
そういって木陰の歌を口笛するのだ
旅の友
風、虫、チョウチョ、カタツムリ、犬、猫、カーテン、星、精霊 色々