2010年5月11日火曜日

霧雨と口笛



真夜中の霧雨の中
誰かが口笛を吹いていた

私は
どんな日も、こういう時間が好きだろう

少し寝坊してピアノに向かう
いつもの赤い傘をかぶって(さして)レッスンに通う

今までのレパートリーにスクリャービンを加えてよいか
恐る恐る先生に尋ねる

6月の予定が秋遅くのシーズンに変更になりそうだ

霧雨の夜にスクリャービンの曲を想像する

こういう日は幸せだった
一人で静かに
音と人に想いを寄せ過ごす


多くの人といることが苦手だから
いつもピアノの近くでひっそりと誕生日を向かえることが私は好きだった
そしてこれからも

支えてくれた、そして有り難みを忘れずに

雨の日の階段を上る

雨は心の涙、思い出、心のうた、
そして今

心、生活の貧しさを尊ぶ日に