2010年5月26日水曜日

お嫁さんになるピアニスト、87歳のピアニスト





朝に玄関のチャイムがなった
目をこすってドアを開けると......美しいエキゾチックな女性が静かに立っている

「ボンジュール、本当に突然ですみません...私は同じ通りに住んでいます。
いつも家の前であなたのピアノを聞いていました。
私はイラン人で夏の終わりにイランに戻り結婚します...」

突然のことで私は驚いた....寝起きの気持ちが吹っ飛んでしまった。

話を聞くと彼女はパリのエコール ノルマル(パリでは名の知れた私立の音楽院、私も来た当時同校ピアノ科に在学していた)で
勉強した後、ロンドンでもピアノを勉強したのだそうだ
ピアノ科を終わり、大好きなパリを9月に去るのだと言う

私なぞよりも、バリバリにピアノを弾く方だと想像出来た。

「あなたのピアノの先生はどういう方ですか、確かに私は結婚式や引越しの準備でピアノに
向かう時間は以前に比べて全然ありません
でも
ピアノのバリエーションや、音に対するモチヴェーションをそれでも保ちたくて
あなたの家の前に居たら、あなたに逢えると思ったから...何度も不在時にベルを押してしまったのです。ごめんなさい...」

確かに思えば同じ通りにはピアノを弾いている人や、パイプオルガンを弾いている人がいた

彼女の真面目で控えめな言葉、一つずつ聞いて、
瞳を見て直ぐに
「ああ、この人は...本当の音楽家だな」と思った。

彼女とは秋前までだけど、良く話を聞いたら同年代でよい友人になれるような気がした


夜はピアノの師匠、レンギエル先生の87歳の誕生日会だった

なんだろうね、素晴らしい瞳のエネルギーの人に逢えた今日

私も87歳、天国、またはピアノなど教えているのかな

お嫁に行く、謙虚に尋ねてくれたイラン人の彼女
レンギエル先生....いつも果てしなく一生何でも勉強だと
心を打たれる。
今日もレッスンはラフマニノフをコテンパにされたものだったし...


久々に俳優のディミトリーに逢ったら「君は変わった」と10回以上言われた。
「ははは、寝不足だからかもよ、それともムクんでいるのかな」と言ったら
「やっぱり、変わった、眼差しが」と言う
60年も役者をやっている彼なので、まずは人の表情を見るのに長けているのかな

もし、私が善く「変わった」のならば、

自分の周りにいてくれる
厳しくも暖かく支えてくれる人々に感謝
素敵な生き方を感じながら

自分の感受も私らしく新しい方向へゆくのでしょう


朝から、素敵な「ピアニスト」に囲まれた....
どこまでも純粋にひたすら向かって行く人々

そんな美しい日だった