2015年2月9日月曜日

薔薇と老女



昨日、小雨の中をベビーカーを押してとぼとぼ....と歩いてきた

ゆっくり、ゆっくり
私の横を通り過ぎる、おばあさまがいることに気がつく

自転車に乗りながらも腰はあまりにも曲がり果ててしまい

お洋服もくちゃくちゃで地味なものだった

空模様も灰色で
白髪まじりのその女性を私はただ横目で視界にいれていた




しかし

おばあさまが私を通り過ぎた直後にフとドキッとした

彼女の自転車の後ろ荷台に

真赤なバラが無造作に沢山.....


ご自分でお部屋に飾るのだろうか

誰かに贈られるのだろうか


私は1秒程ですべての物語を勝手に想像してしまった




おばあさまの後ろ姿が薔薇と揺れて遠くなっていった




思わず立ち尽くして写真を取ろうとポケットからiphoneを取り出したが
それは彼女が行ってしまった後だった


いつも通りの道で
重く曇った空だった


どこか昔の夢を見ているようだった

遠い庭の少女のような