2011年2月21日月曜日

鳩のひと


或る日、私は「最果ての地」へ旅立つ電車のチケットを購入するためSt Lazareの駅にいた

階段の下に汚れて擦り切れた毛布を膝にかけた女性がいた
髪の毛は短くボサボサでやせ細り....顔も手もアカギレで真っ赤だった

しかし彼女の手には1匹の
同じく...やせ細った小さな鳩がとまっていた
そして彼女は優しい微笑みでその鳩を撫でていた

私は
その笑顔を見た瞬間に心が割れた


チケットを購入し終えて、階段に戻ると
彼女の座る隣には鳩がいた

ポケットから2ユーロのコインを...割れたプラスチックのコップへ
彼女は「ありがとう、感謝します。あなたに良い1日でありますように」と笑顔で言った


違う、感謝するのは私なのだ


そう...以前から思っていた

私の音楽はこのような人たちのためにある
いや、どのような境遇であれ
自分の音楽は立場の弱い人々の笑顔のために、どうにか出来ないものか考えていた...

暴力に怯える、金銭的に、人間的に破綻してしまった人へ
貧しく虐待にある子供たちへ
見捨てられた人へ

それは全て....恩返しなのだ

何故なら私もこの4年間半、どうにもならなかった生き方と思いがあり
ずっと刑事裁判をしてきた
そして先日、終焉した


今、私は自由にある



鳩を撫でていた彼女の笑顔は美しかった
本当に

ずっと彼女の笑顔が忘れられなくてメトロの中、私の心に彼女が住んでいる

いつか彼女が新しく旅立つとき
鳩は泣くのだろうか

寂しい涙か嬉しい涙か


私の今後のヴィジョンは見えた
彼女がくれたから