2012年6月24日日曜日

今を生きるギャロップ





















今夜はシャトレ劇場にスーザングラハムの演奏会を11年ぶりくらいに聴きに行った

彼女は有名なmezzo

表現力が本当に豊かで遊び心を大切にしている


やはり大きいな...と思った

歌う彼女を見ていると無数の輝く色が、彼女自身から発せられて飛び出している



私はアメリカ系のオペラ歌手(声楽家)が実は好き
来週も大御所の大御所、ジェシー ノーマンの演奏会に行く

声楽家はドイツ、ロシア、フランス、イタリア、スペイン、英語、日本語....など
どこの国の歌曲やオペラ曲なども言語で歌うけれど

英語圏の歌手は時にJazzぽい現代曲を本当に楽しげに歌い出す

なかなかヨーロッパ伝統的な歌手には見られないノリだと思う

そういう「粋」な遊び心を持つプロフェッショナルが私は好き










































スーザン グラハムを聴きながら
ああ、なんて音楽で自分を表現出来ることは素敵なんだろう
私もずっとそうでありたい

と、とても解放された気持ちになり

彼女が発する輝く音の心を見ていた






こちらへ来た20代前半に3年ほど徹底的に
フランス歌曲とドイツリートを音楽院で勉強した
日本の音楽科高校、音大時代も声楽は勉強したが不真面目だった分
とことん必死にやっていた

私の声楽の先生は身長が196センチでバリトンのオペラ歌手だった
いつも地響きのような....教室の壁や床がひび割れそうなくらいの声量で
圧倒されたものだった

「ミオ、君は声量がとてもあるけれど、もし今後オペラの道に行きたければ
あと最低15キロは太って身体作りをしなさい。」と言われた


私自身、身長が150センチあるかないかなので
どうやったらもっと、音楽家として声が出るようになるのだろうか
考えたものだった

いつもピアノや声楽、シャンソンの練習にあけくれて
ボロいジーパンに猫っ毛の髪がボサボサのまま
多くの楽譜をヨッチラコッチラ、小走りで持ち歩いていた

まだコンクールや人前でライブをするよりも昔の日び



そしてモーツアルトのドンジョバンニのデュオの本番前に
相方役だったユゴーの自死

今もユゴーが貸してくれたマスネのCDが返せないまま

.......





.......今夜の演奏会を聴きながら
色んなことが心に蘇って来て

「今」の私は時を感じながら、スーザン グラハムを見ていた




先進国が作り上げた社会的成功の前、厭、それ以前に

音楽で表現して行くこと、その道の向こうに
自分の中の本当の一番星があるのだろう



今夜は偶然にも赤い靴だった

赤い靴に、深い青の夜は
今を生きるギャロップのようだ