北の血よ
君はこの北の地に眠っているのだから
高い空 北風に乗って とんびと今日も戯れているのかい
潮の馨はとても落ち着いて 全くちがうよ
この北の大地に灯がつく時間だよ
朗々と流れるこの北上川の流れは
まるで君の鼓動のようさ
五月雨(さみだれ)の中に君の笑顔をみつけた
そんな夢をポツリ見たんだ
君は北の海で目を閉じたから
つかめない海雲 北極星になって 太陽を冷やかしているのかい
山々の声は落ち着いて あの日から遠くなったよ
この夢の地に 君はもう生まれ変わることのない
虹になった 虹になった
今日は姫神の山に 明日も金色(こんじき)の稲穂の上に
七色の橋を架けてくれるのかい
その橋を渡ってみてもいいかい
ほら ごらん
あの三陸の暗い海に光が入るよ まばゆい今日が今始まるよ
駈けて行く砂浜に
陽に焼けたあの日の笑顔の写真はもうないけれど
新しい時代へと時は進んで 色褪せて 薄れていって
限りない未来へと
想いのまなざしは溢れて
にじんで 流れて また乾いて
眩し過ぎて悲しい海がキラキラ広がるよ
入道雲の微笑みよ
讃えよ 響けよ 鎮魂の潮(うしお)への扉が今開くよ
輝き過ぎて涙が出る
美しき 嗚呼 この北の地に
あの三陸の海に静に斜陽が映る
今日の日も終わるよ
君のような風が 駈けて行く砂浜に
嗚呼 美しきふるさと
この北の地よ
君の血よ
作詞作曲 千葉海音