昨日、小雨の中をベビーカーを押してとぼとぼ....と歩いてきた
ゆっくり、ゆっくり
私の横を通り過ぎる、おばあさまがいることに気がつく
自転車に乗りながらも腰はあまりにも曲がり果ててしまい
お洋服もくちゃくちゃで地味なものだった
空模様も灰色で
白髪まじりのその女性を私はただ横目で視界にいれていた
しかし
おばあさまが私を通り過ぎた直後にフとドキッとした
彼女の自転車の後ろ荷台に
真赤なバラが無造作に沢山.....
ご自分でお部屋に飾るのだろうか
誰かに贈られるのだろうか
私は1秒程ですべての物語を勝手に想像してしまった
おばあさまの後ろ姿が薔薇と揺れて遠くなっていった
思わず立ち尽くして写真を取ろうとポケットからiphoneを取り出したが
それは彼女が行ってしまった後だった
いつも通りの道で
重く曇った空だった
どこか昔の夢を見ているようだった
遠い庭の少女のような