2012年8月12日日曜日

別荘にて 静かに生きる









































ピアノの生徒さんが持っておられる別荘の一つに
ゲストでお呼ばれをして過ごしていた

ロワール地方の古いお屋敷だった


私は、物心ついた時から
夏休みを過ごしたことがない

いつもコンクール、試験、演奏会に追われていた
この夏、産まれて初めての夏休みを過ごしている

都会のスウィートルームも好きだが....
パソコンも携帯も所持しない日び
田舎のお屋敷で。

不思議なことに...
いつも私は地方のお屋敷でフランス風ののんびりした空気と共に
少しゆっくり生活をしてみたいと想像していた
それがすぐに叶ってしまったのだから
嬉しい奇跡だった

別荘にて ロワール








































麦畑の丘に建っているのが滞在をしたお屋敷(別荘)

船みたいな汽笛を鳴らして
小さな汽車が畑の中を走っていた
































この地方は丘の岸壁に穴を掘り
お部屋やサロンにしたりする設計が昔からあるようで不思議な家々が多かった


近所にはロワール川から別れている
小さな小ロワールが流れており

誰にも出逢わなかった

夕食はいつも外のテラスで
....真白なフクロウの親子が毎晩やって来た

シッポの大きなリスは花蔦を走り

ナメクジは誰につぶされることなく
安心して道を渡れるのだ




















































別荘にて 散歩






















































































































マロニエの木々の葉の音と
トウモロコシ畑の葉の音は違う

初めは心地よく聴いていたが
職業上...色々考え始めた

葉の面積、繊維、厚さ、温度によって
または風向きによって
木々がもたらす音は違うのだろう

ファンタスティックな光景の中で論理的な考えを始めた私は
全くファンタスティックではなく
誰かと木々と風と葉に対しての音声論を交わしたくなった
ひとりで考えているのがムズムズしてきた

別荘にて 気ままに





















朝は遅く起きて
気ままに外のプールで泳いだり
手作りのジャムを頬張ったり

お屋敷のまわりを散策したり


























野菜やぶどうを摘むカゴがおもむろに置いてある
カゴ屋さんのようだ
カゴ専用のお部屋

























お庭がある丘から麦畑を 眺める
ただひとりで黙って眺め
何も考えない























午後のシエスタはこのハンモックで
風の音だけを聴いて頭脳に関する本を読んでいた

しかしバルザックを読み始めたら
羊を数えるよりも早く夢に入っていた

ある意味、ドストエフスキーと同じくらい
私にとっては安眠剤なのだ

自分には文学は非常に向いていない

しかし読むと言うことを試してみたくなるのだろう

楽譜は読めるが....








別荘にて a la cuisine




















































































お庭で取れたクルジェット.....何か語っている気がする







別荘にて 思い出と今














































1900年代のプレイエルのピアノがあり自由に練習が出来た
プレイエルはショパンが好んで弾いていたピアノ

私はショパンのソナタを弾きたくなり
1999年の日本での最後の夏以来...弾いてみた
おぼろげに当時を思い出した

自分の音楽の将来にすら目的と方向が掴めないまま
途方に暮れていた夏だった

そんな若き音大生のある意味苦悩の
優しい日びを思い出した






























自由に使ってよいよ、と1800年代から今の時代迄の楽譜の
一部を貸して下さった

昔の楽譜はこっていて本当に美しい

私はフランスの昆虫学者の ファーブルの声楽曲楽譜を借りた
1800年代の今や誰も忘れてしまった歌ばかりだ

これから時間を見つけて....練習をして行きたい...



























































遠くに見えるのは麦畑と丘だけ
毎日
薔薇は夏を歌っている




別荘にて 終わり







































お部屋に戦前か戦後の結婚式の写真があった
フランス軍の制服を来た男性とウエディングドレスの女性
いつの時代も幸福の時間はあったのだと想う
















































毎日この中をひとりで歩いた
ノスタルジーとは何なのか
風の音をオーケストラに適当に歌って歩き回った

























思い出に
知らぬ花の種を摘んでパリに戻ったのだ