2010年7月27日火曜日

pp


友人の家のピアノを借りて練習する
最上階の窓の近くのピアノ
夏のような...秋のような雲に
pp(ピアニッシモ)が届くように

届いたか...と思う瞬間があり

空の近くでピアノを弾くっていいな...
雲のカタチのような音を出したいなと思った
雲も人も同じ時は無い

いつも自宅からだったら
半地下で外のゴミ箱と遠い空をカーテンから首をひねって垣間みる
それも良し

pp, スクリャービン、雲
ピアノ、私、月、パリにいる

昔、露ほどもこんな日を思わなかった

色々
ありがとう

小さな心、小さな怪獣


ある日、ピアノの生徒さんのレッスンを終えメトロに夜乗っていた
一駅で乗り換えだから...と思いドア付近に立っていたら
後ろからポンポンと叩いてくるので振り返ったら...小学くらいの小さな男の子が
「マドゥモワゼル、僕の隣が空いているので座って」と笑顔で言ってくれた
丁寧にも補助椅子を座れるように手で押さえてくれていた
「メルシー」と笑顔で答えて有難く座らせてもらった

心の中で...嬉しいな、優しい子だな... ...せっかく座らせてもらったのに
一駅で降りるなんて...ちょっと寂しいかな、悪いかな...どこかで乗り換えがあるだろうから
何駅か一緒に乗っていよう...と思った

夜なのにこの男の子ひとりで乗っているのかしら?と親らしき人を目で探したが見当たらない
男の子はクシャミをした後に私にニコッと笑った
父親らしき人が向いの補助席に座っていた
父親に見えなかったのは彼の歳がかなりの年配者だったから...でもどう見ても祖父ではない
スーパーのビニール袋から小さな怪獣を出して男の子に渡した
とても喜んでその怪獣を手で上げたり下げたり...楽しそう

きっとこの父親は多くの優しい心を息子に与えて育てているのだろうな...と想像していた
その2人が降りる時に
私に小さな手を振って男の子は遠くなって行った

なんだか日びの重荷がフワッと軽くなった瞬間だった

その後...自分が降りる乗り換え駅が無いことに気が付き...しまった!と思った
遠回りをして帰った夜だったが
心は優しい夕陽みたいだった


2010年7月15日木曜日

空を手折る ピアノ演奏会のお知らせ


L'ete juillet 2010

8月11日 岩手県一関市 文化センター 音楽生の夕べ(トリで1曲のみ演奏)
             
            
             8月18日 兵庫県西宮市 Jazz & coffee wine D2! 19h open 19h30〜 チャージ無し(drink代別)


Bach, Mendelssohn, Rachmaninoff etc...

演奏会の追加は随時お知らせ致します

夕日はどこだ


先日プライヴェートパーティーで歌った時
歌を気に入ってくれた人が翌日その人の友人の
ユニヴァーサル ミュジーク フランスのプロデューサーに連絡をした

どうしても私の歌を聴いて欲しいと頼んでくれたらしい
ユニヴァーサルと言えば大手レコード会社でメジャーな所だ

沢山練習をし、変な緊張と共にユニヴァーサルへ向かった
握手を交わし
「あの...ピアノはありますよね?弾き語りが私のスタイルなのです」

Ouiの返事が当たり前に来ると思いきや
「え?ピアノ、ないよ。」

その時点で私は自分からお断りして帰ろうと思った

昔の歌をパソコンから聴いてくれたが
私は違う、と思った

自分は「今の自分」の歌を聴いて欲しいのだ
そうじゃなかったら意味が全くない

ピアノもない、なんの段取りもないオーディションだった

日びに、人々に感謝して生きる

でも、その日はトボトボ歩いて

「夕日はどこだ!!!」
と叫びたくなった


現在、自分は歌を売り込んだりしない

でもね、今回はいい加減にしなさいよ、と思った

私に歌う曲も多く指示をしていながら

弾き語りをする歌手だと伝えるのがまず始めでしょ
人を取り持ってくれるのならば

これも小さい笑い話に
いつかなるんだろう


バレエ日和 LE LAC DES CYGNES



現在、シャトレ劇場でNovossibirskバレエ団が公演を行っている
久々に2度ほど足を運んだ
日本にいた頃はよく一人で観に行っていたが...
パリでは多くの機会を逃していたので嬉しかった

今日は白鳥の湖(オケ付き)
オートゾックスだが、やっぱりいいな
個人的にはオーケストラのリズムや迫力に欠けているかな...と言う点は少し気になったが
素敵な時間を送れた

会場に行けるかどうか分からないくらい大雨だったが
ずぶ濡れになって這いつくばって行って良かった!

拍手を最後に何度も贈る時
自分も泣きたくなる時がある

それは、素晴らしい舞台をありがとう、感動をありがとう...ではなく
表では決して見えない努力と血と汗の思いへ
心から拍手を贈りたくなるのだ

バレリーナが時と時の隙間を踊るのなら
私は時と時の隙間にある音を歌いたいものだ...と心底思う


一緒に行った友人はオデット姫になりたい
私は黒鳥になりたい....と
性格の違いから楽しい空想になったのも笑みがこぼれた

バレエ日和 Programe BALANCHINE



チャイコフスキーのセレナーデ

まるで遠い風の中にいるような
美しい時間だった


L'hay les roses






七夕の日、仲の良い春奈ちゃんの誕生日を祝してL'hay les roses(ライレローズ)へ
パリから郊外線で少し南へ行った

蒸せかえる西陽の中で
ノスタルジーな世界の住人になった

お花の匂いがいい

そして美しく棘のある歌っているようだった

もっぱら私は....どの薔薇色よりも
オールドローズの少し枯れかけた薔薇と

多くの種類の棘に魅了された

L'hay les roses 2





2010年7月2日金曜日

無題

祖母(書家 千葉桂舟)が永眠し、長年の書道教室も閉じることになりました。
在命中は私も含め、書道界の多くの先生方、地元の皆さんには大変お世話になりました。
ありがとうございました。
心よりお礼を申し上げます。

私は自分の道を選び、彼女の後を継ぐことはありませんが
今後も自分が生きる場所で人目当たらずとも静かに書に向かう生き方を選ぶと思います。

おかしなもので、彼女が亡くなる直前の時間に
明日のプライヴェートパーティーの主催者(友人)へのプレゼントを選んでおりました。
手に取っていたのは筆と硯

朦朧とした中でも祖母は手に筆を握った素振りをして、空中に字を書き続けたそうです。


感謝と共に、
明日の空へ静かな心の響きを繋げます


千葉海音